「お前、オレのこと好きだろ」
「聞こえません」

「嘘つけ。オレはお前の目の前にいるんだ」
「聞こえません」

聞きたくないだけなんだ


「自意識過剰ですか?」
「あぁ?」
「クス」

「むかつく野郎だ」

とっと犯してオレのもんにしちまえばいい。そんなことばかり思っていた
だけど、こいつを見ていたらそんな気持ちは何処かへ行った


「ギリコさん」
「あ?」


 重なる唇


ギリコはジャスティンを突き飛ばした。ジャスティンは倒れることもなくただ、顔が赤くなっていた

「お、お、お前……!!」
「してほしかったのでは?」


「ちげーよ! 馬鹿野郎!!」
「クス。まぁ、いいじゃないですか」


やられっぱなしもムカツクな


「けっ。今度会ったら犯してやるよ」
(下品…)

「じゃあな!」


ああ。二人ともなんて素直じゃないんだろう。

全部“嘘”だなんて、ほんとに“嘘”だ。



嘘×二乗