見捨てていけと?そんなこと、できないと知っているくせに




「せんぱーい」

「なんだよ」

校庭では愛する我が子が思春期まっさかりの男子と遊んでいる。

何か変なことをされては大変。だから、いつも遠くで見守っている。



「オレがもし 死に掛けてたら、見捨てて逃げていいですよ」

「……お前はどーいう答えを望んでいるんだ?」


「さぁ」


ヘラヘラと笑う奇怪人は、眼鏡のレンズを磨きはじめた。




「できねーって知ってるくせに」

「先輩ですから」


「お前だったらどうするんだよ」

「そりゃあ」





愛してる人を置いて生けないでしょ?




と、言われた。




もう、お前無しではオレは生きていけないのだろうか




end